桜の頃も間近となった日曜日の午前8時すぎ。久しぶりの青空に誘われたのでしょう、室見川河畔ではもう、散歩やランニングが始まっています。心地よい春風に吹かれ、気持ち良さそうです。上空には鳥たちが飛び交い、浅瀬ではマガモやサギがゆっくりと羽を休めています。春の風物詩・白魚漁のヤナの上には、カモメの行列です。仲良く川面を泳ぐヒドリガモのつがいは、水中に頭から突っ込み、餌とりに余念がありません。
そこには、昔ながらの心安らぐ風景があります。いつの時代も、川の流れは私たちの心を潤わせてくれます。特に、ストレスの多い現代社会のなかでは、川辺は最高のアメニティ空間であり、癒しの場所です。

室見取水場近くの橋の下で、軽快なランニングウェアで体操している一団がありました。室見川ランニングームの人たちです。そのなかの一人、新原重範さん(56歳)は私と同年の幼友達で、酒屋を営んでおられます。「むかしは、春になると砂にもぐった白魚とり、夏は泳いで、秋は上流までハイキング、四季折々に楽しみました。」お互いに清流だった頃の室見川を鮮明に覚えているから、最近の水の汚れが気になるのです。「それでも、朝も夕も室見川を楽しんで下さる人が増えましたね」と、新原さんもうれしそうです。笑顔であいさつして小戸公園へとランニングに行かれました。



室見川しろうおマラソン
 
室見川に魅せられて「毎日、夜1時間は歩かないと気がすまない」とおっしゃるのは岡三重子さん(54歳)です。「15年間続けていますが、本当に気持ちが良くて、一日の疲れが吹き飛びます」と岡さん。草花も鳥たちも、季節ごとに楽しみがあり、雨の日も雪の日も出かけるそうです。夜の一人歩きは危なくないですかと聞くと、「怖いと思ったことなど一度もない」と即座に否定されました。大勢の人が散歩を楽しんでいるから、心配したことはないそうです。
青木栄次さん(62歳)も、良き時代の室見川の姿を覚えている方々の一人です。「川に下りると、ハサミに毛が生えたツガニが針金でバケツいっぱいとれました、もちろんシジミもです。水はきれいで、初夏にはホタルが乱舞し、カワセミもいました」。そんな懐かしい、姿が、まぶたに焼き付いて離れないようです。だから、最近の水質の変化が悲しそうです。それに、タバコやゴミのポイ捨て。川辺を楽しむ人のマナーの悪さも気になるとおっしゃいます。毎日の散歩を欠かさない青木さんは、たまに橋本橋までゴミ袋を持ち、ゴミを拾って歩くそうです。でも、戻ってくるともうゴミが捨ててある。これには我慢ならない様子です。
室見川は私たち早良区民みんなの財産です。生活に文明の進化だけでは満たされない潤いと安らぎを与えてくれるこの川に、感謝しなければなりません。これまでも多くの人々が室見川に癒されて生活して来たのですから、これからもそうありたいと願っています。私たちは、いま改めて室見川に抱かれ、守られて生活しているんだ、という意識を忘れてはならないと思います。


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