「文明が輝かしいものであればある程、その進歩的な存在が短かった場合が多い。何故なら、文明の発達は、多くの場合その文明の発達に寄与した環境を収奪し、荒廃させたからである。」・・・・・とは、V・G・カタールとT・デールによって書かれた「土と文明」という本の一節です。

私たちが暮す福岡市は、今、日本で一番元気な都市と称えられ、全国の都市が羨望の対象として下さる程の、めざましい発展を遂げ、脚光を集めていますが、それだけに、私たち福岡市民はこの本が指摘する一節の重みを決して忘れてはならないと思います。

早良区で育ち、学んできた私にとって、ふる里の原風景といえば、多くの皆様と同様に「室見川」です。

室見川は、市民の生活用水の供給源として、都市成長の基盤を担い、またその川辺は、私たち市民の欠けがえのない憩いの場として、あるいはスポーツ・レクリエーションの場として、市民活力の再生に多大な役割を果たしてきました。そして、何よりも松尾芭蕉の「水は動きて、人の情を培う。」という言葉の通り、その澄んだ水の流れは、福岡市民独特の温かい人情を育ててくれたような気がします。そんな室見川に、ここ数年ある異変が起こっています。昔から福岡の街に春を告げてくれていた「白魚」の漁獲量がここ数年、急激に低下しているのです。

生物は、生態系の健全さの指標といわれますが、「白魚」はまさに室見川のシンボルです。私たちの目に感じることができないところで、室見川の生態系に悪しき変化が起こっているのではないかと心配ですが、専門家にお尋ねしてもその原因を特定することは大変難しいということです。
確かに上流域では、大規模な土地開発が始まっています。また、水量確保の為に、水を塞き止め、下流域には十分な流量を満たしていないという問題もあります。さらには、一部の心無い人々が、川を汚している傷痕も残念ながら見受けられます。
私は、この室見川の恩恵を受けて育った一人の早良区民として、何とか人間の立場として恩返しが出来たらと思っています。幸いにも、市議会議員という役務をいただいているお陰で、室見川のことを調べるに必要な多分野の専門職の方々との知己を有しております。
生態学、都市計画学、環境学、土木工学、農業計画学、建築学等に、秀れた識見を持った市職員の方々、そして議会の仲間と協働して、「白魚が帰って来る室見川」の為に、何ができるのかという課題に取り組んで、良い成果を得たいと切望しています。
とはいえ、二級河川である室見川は制度上、福岡県の管理下にあります。
福岡市や市議会ができることは、自ずと制約がありますが、それでも、私たちが行動することによって、室見川の生態系をいかに再生するのかという、極めて重大な問題の糸がほどけるきっかけになるのだと信じています。

今後、本紙を通じて地元の皆さまに、私たちの報告を継続的にご報告させていただき、本課題に対する認識を少しでも深めて行く材料になればと思っています。



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